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最高裁判所第二小法廷 昭和45年(オ)464号 判決

主文

理由

上告代理人中村慶七の上告理由について。

亡稲本兼蔵が青森県十和田市大字切田字平林一五八番三七号畑七畝六歩の地上に杉を植林し、昭和二年一〇月二五日から二〇年間、所有の意思をもつて平穏公然に右土地の占有を継続したことにより、これを時効取得したとの原審の認定、判断は、挙示の証拠に徴して首肯することができ、上告人畑山ちよが昭和一一年九月一五日右土地を訴外畑山喜治梧郎から買い受けて同日所有権取得登記を経たことは、原審の確定するところであり、それ以後に右時効が完成したのであるから、兼蔵の相続人である被上告人らは、登記なくして上告人ちよに時効による所有権取得を対抗することができる(最高裁判所昭和三八年(オ)第五一六号同四一年一一月二二日第三小法廷判決、民集二〇巻九号一九〇一頁)。上告人ちよの所有権取得登記が兼蔵の時効を中断するとの所論は、独自の見解であつて、当裁判所の採らないところである。原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 小川信雄 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一 裁判官 岡原昌男)

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